2025.9.13
夫の転勤先は“宮崎県日向市”。これまで暮らしてきたのは、きらびやかな街並み、夜にはネオンが輝く港町。その場所から、豊かな自然と温暖な気候に恵まれた港町・日向市へと移り住むことに。女性ライダーでもあるI.M.さんの走る風景も、都市高速から緑が生い茂るロードへと移り変わっていきます。移住して3年、そして今年10月には、新たな命も誕生します。
―――周囲を驚かせたライダーとしての一面
異国情緒あふれる神奈川県横浜市。西洋の街並みや中華街に囲まれた土地でI.M.さんは生まれ育ちました。転機となったのは、夫(当時は恋人)の大学卒業と同時に決まった就職・転勤。九州に縁ができたのはその少し前、家族と2週間かけて九州を一周旅行した時でした。宮崎には日帰りで訪れましたが、「とにかくご飯がおいしい」というのが第一印象でした。とはいえ、いざ「日向市に転勤」と聞いた時には不安が大きかったです。車社会の生活に慣れていなかったため、戸惑いもありました。当時、乗っていた車は日産の180 SXで、移動はもっぱらスズキのバイクGSXでした。女性ライダーとしてバイクで走る姿は、周囲から驚かれることも多かったです。
―――仕事を通じて広がった居場所
生活基盤を整えるために、最初に考えたのは「仕事探し」。夫が転勤族であることを伝えなければならず、採用までのハードルは想像以上に高かったです。製造業の現場勤務を希望していたものの、夜勤があったため断念。その後、Webサイトで見つけたのが「宝夢塗装」の営業職でした。塗装業はまったくの未経験。営業も初めてで、大きな不安を抱えてのスタートでした。黒木社長に同行し、企業や民間への営業に回る日々。右も左もわからないまま飛び込んだ日向の街に、少しずつ馴染んでいる感覚がありました。社員はみな親切で、職場は「第二の家」のように安心できる場所。顧客からも顔を覚えられ、地域の中に自然と居場所が広がっていきました。仕事についても、塗料や施工の知識も一歩ずつ積み重なり、自信へと変わっていきました。
―――ライダー目線の日向の魅力
移住して3年、今は産休を前にしています。子どもを授かる前は、趣味のバイクを通じて夫やインスタで知り合ったライダー仲間とツーリングに出かけることが楽しみでした。「宮崎はバイク人口が多いのでは」と感じるほど、ライダー同士のつながりは温かく広いもの。横浜では夜景を眺めながら都市高速を走ることが多かったのに対し、宮崎では日中に自然の中を走り、海や山を駆け抜ける爽快感が魅力です。阿蘇方面へ走ることもあれば、日向市では東郷方面へ向かい、郷土料理を味わうことも日常の楽しみになりました。「人の優しさ」「自然の豊かさ」「食のおいしさ」。そのすべてに触れ、「移住してよかった」と心から実感しています。横浜に暮らす両親は、私が九州に渡るときには寂しさを見せていましたが、宝夢塗装の黒木社長の理解もあり、有給を使って正月やお盆に帰省することができています。「人に恵まれた」と強く感じています。
編集後記
宝夢塗装を訪れると、すらっと背の高いI.M.さんが、柔らかな笑顔で迎えてくれました。母はロシア人、父は日本人。異文化のルーツを持つ彼女は、前夜に自分なりに質問を想定してメモを取るなど準備を重ねる几帳面さを見せる一方、女性ライダーという凛としたかっこよさも兼ね備えています。10月に誕生する予定の男の子とご夫婦で、いつか日向の自然豊かな街並みを一緒にバイクで駆け抜ける。そんな未来の姿を思い浮かべると、自然と微笑みがこぼれました。
【I.M.さん】移住歴:3年/移住時の家族構成:夫婦/職業:株式会社宝夢塗装 営業